環境技術
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DDTC亜鉛共沈-酢酸エチル溶解法を用いる環境水中の微量カドミウムの黒鉛炉原子吸光分析
杉本 太前田 嘉道安積 敬嗣
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1990 年 19 巻 12 号 p. 763-766

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抄録

Zn-DDTC共沈濃縮-酢酸エチル溶解法を用いて, 海水, 河川水などの環境水中の微量カドミウムを黒鉛炉原子吸光分析法により定量した.検水100~1, 000mlに亜鉛 (II) 0.3mgと2%DDTC溶液5mlを添加して, pHを5に調節すると, 痕跡程度の微量のカドミウムが定量的にZn-DDTCと共沈する.生成した沈殿を酢酸エチルに溶解した後, 得られた溶液を直接黒鉛炉原子吸光分析の検液として用いる.検量線は良好な直線性を示し, 吸光率1%に相当する感度は3ng, 検出限界は3ng, 定量下限は10ngであった.海水に標準添加を行った場合の検量線の勾配は純水で作成した検量線の勾配とよく一致し, 海水のように共存イオンを多量に含む場合でも, 検量線法で定量できることがわかった.本法は河川水などの環境水中の微量カドミウムの定量にも十分利用できる.

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