水中のセレン (IV) をフローインジェクション法により定量する方法について検討した.
蒸留水はキャリアー流としては0.78ml/minの流速で送液され, これに200μlの試料溶液を注入する.4, 5-ジメチル-o-フェニレンジアミン溶液も0.78ml/minの流速で試薬流として送液され, 反応コイル (5m, 80℃) 中で4, 5-ジメチルピアセレノールが生成する.このピアセレノールの吸光度を340nmで測定する.検量線の直線性は良好で (r=0.9999) , 5mg/l及び10mg/lのセレンの10回の繰り返し注入における相対標準偏差はそれぞれ0.26及び0.32%であった.本法によって1時間当たり40試料の分析が可能である.本法は感度の点で排水中のセレンを直接定量するのは困難であると思われる.したがって, 試料がppmレベル以下のセレンを含む場合や数種の妨害イオンを含む場合には共沈のような適当な予備濃縮操作が必要であると考えられる.
