環境技術
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好熱性細菌を利用した余剩汚泥の発生しない活性汚泥法
桂 健治福井 孝博三浦 雅彦赤司 昭長谷川 進
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1998 年 27 巻 5 号 p. 356-361

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抄録

活性汚泥プロセスから発生する処理汚泥を好熱性細菌を利用した高温好気性消化槽で可溶化し, 曝気槽へ循環返送することによって余剰汚泥の発生しない新規な廃水処理プロセスを開発した.
高温好気性消化槽の性能は, 65℃, HRT 1日の条件でSS可溶化率35%, VM除去率20%であった.次に, 上記消化槽を40lの曝気槽を用いた活性汚泥プロセスに導入し, 汚泥の出ないプロセスの検討を行った.基質としてグルコース, ペプトンを主成分とする人工廃水を用い, BOD-SS負荷0.3kg/kg・d, MLSS2, 000mg/lとなるように運転した.その結果, 標準活性汚泥法では平均4.9gSS/dの余剰汚泥が発生したのに対し, 本プロセスでは予想される余剰汚泥の3倍量の処理汚泥を可溶化することによって見かけ上余剰汚泥が発生しないことが実証された.処理水BODは5mg/l以下で差異はなかったが, 溶解性TOCは標準活性汚泥法に比べ25%上昇した.従来の脱水・搬出処理と比較したところ, 総運転経費は1/2~1/3に低減されると推算された.

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