環境技術
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水道におけるクリプトスポリジウム等原虫類検査のための連続ローター開発
泉山 信司八木田 健司佐野 茂遠藤 卓郎
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2001 年 30 巻 3 号 p. 242-247

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抄録

水道原水あるいは飲料水からのクリプトスポリジウム等原虫の検出は, 《多量の試料水 (10l以上) の濃縮→ (オー) シストの精製・分離 (密度勾配遠心法) →検出》という工程によってなされる.試料水の濃縮は時間を要する作業で, 同時に検出感度 (回収率) を規定する.一般に, 濃縮作業はフィルターを用いた濾過あるいは遠心沈殿法を用いるが, フィルター濾過では沈渣の保持能力に限界があるとか, 遠心法では多容量の試料では不向きであるとか, それぞれに問題を抱えている.当該研究では連続遠心濃縮装置に着目し, 濃縮精度の向上と迅速化を図るべく, 連続遠心用ローターの小型化 (内容量80ml) に向けて改良を行った.この連続ローターで濃縮された試料は次のショ糖浮遊法の工程に直ちに適用することが可能で, 濃縮工程の簡略化により所要時間の削減と回収率の向上に貢献した.実際のクリプトスポリジウムのオーシストを用いた回収実験での回収率も充分であり, 本法を試料濃縮における選択肢の1つとすることが可能となった.

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