環境技術
Online ISSN : 1882-8590
Print ISSN : 0388-9459
ISSN-L : 0388-9459
最近の活性炭処理プロセスの2・3の実施例
立本 英機北川 睦夫
著者情報
ジャーナル フリー

1975 年 4 巻 4 号 p. 234-239

詳細
抄録

活性炭吸着法による排水処理法は既設の排水処理装置と将来計画される装置との間にあって, 信頼性が高く, 効率が良く, しかも高品位の処理水が得られるものでなければならない.そのためには活性炭自体の性格を充分把握することは勿論, 既設の処理装置や製造工程における各排水の性状を明確にする必要がある.
活性炭吸着の水処理への応用としては, 古くはSpaldingが水処理水中のフェノールの除去に使用したのに始まり, 着色成分, 呈具味成分, COD基質やBOD基質による汚染源, その他一般の有機物の除去に使用されるが, これが活性炭に対していかなる挙動を示すかの知見は, 基礎データの不足, 多成分系からの吸着の様相が困難であるといった問題点をかかえていたため, きわめて不充分であった.
ここ数年来, 活性炭の製造法の研究をはじめ表面積, 細孔分布, 表面官能基などによる液相における吸着特性と被吸着物質の違いによる吸着の様相および吸着速度などから染料溶液, 低級あるいは高級脂肪酸溶液, 界面活性剤, 微量油分, 高分子量溶質などの吸着の基礎的解析が進み, 活性炭の基本的考え方が確立されてきた.すなわち, 活性炭は疎水性吸着剤であるため水溶液からの吸着能は他の溶媒からのそれよりも大きく, 水処理に適した吸着剤であり, とくに有機物の吸着能が著しく大きく, 他の処理剤では被吸着物質の濃度が極度に低く効果のない場合はとくに有効であるので, これを応用する場合は他の方法 (活性汚泥法, 凝集沈殿法, 加圧浮上法など) により前処理を充分施したのち, これを用いることが原則である.同時に環境保全の立場から排水も用水化し, 生産資材の一部であると考え, クローズドシステム化するように試みることが重要である.
したがって活性炭吸着法は, これらの条件を満足する工程中に用いることが最も有効な使用法である.実際装置の設計にあたっては, 基礎実験をもとにして活性炭の吸着特性を把握し, 現場の状況や既設の装置などの調査をおこない最も適切な装置を設計しなければならない.
ここでは活性炭吸着処理を目的として, 実装置の設計計画のたて方ならびに実際の処理例について報告する.

著者関連情報
© 環境技術学会
前の記事 次の記事
feedback
Top