環境技術
Online ISSN : 1882-8590
Print ISSN : 0388-9459
ISSN-L : 0388-9459
平均流線を用いた長期的大気汚染の解析
―千葉市南部地区のSO2汚染―
近藤 充輔門脇 徹荘司 栄徳
著者情報
ジャーナル フリー

1980 年 9 巻 7 号 p. 503-517

詳細
抄録

大気汚染測定局で測定されるSO2, 風向・風速をもとに, 長期的な大気汚染の特性, 汚染原因の解明を目的として, 平均流線を用いる解析方法を提案する.平均流線は類似の風と考えられるグループに分類されたデータについて, 各測定局の風向・風速の平均値から推定される.データの分類は風向と濃度による方法と風向クロス表による方法の二つを用いた.
この解析方法を千葉県臨海地域に適用して千葉市南部地区にみられた比較的高いSO2汚染の特性を解明し, 汚染原因の推定を試みた.その結果, 千葉市南部地区で汚染が高まるのは平均流線が南西系となる場合が大部分で, 大気安定度が中立となる強風時のデータに限定してもこの傾向は不変であり, 汚染が出現する時刻, 季節に特異な片寄りはみられない.SO2発生源の位置, 排出量を考慮すると, 結局この汚染は京葉工業地帯の重合汚染と推定することが最も合理的である.

著者関連情報
© 環境技術学会
前の記事 次の記事
feedback
Top