抄録
病巣と同側肢に運動失調と軽度運動麻痺を呈した視床出血一例について, 画像所見と臨床徴候から分析を行った. 発症2ヵ月後のCT画像で視床中央外側部から放線冠にかけて低吸収域像を認めた. 発症2ヶ月後の神経学的所見は意識清明で, 右半身の錘体路徴候, 軽度の運動麻痺, 企図振戦を主体とした小脳性運動失調が認められた. 感覚は深部覚, 表在覚とも左右差は認められなかった. 動作所見は移乗, 立位, 歩行は監視から軽介助レベル, 動作時に右上下肢の協調運動障害がみられた. 本症例の運動障害は, 損傷部位と神経学的所見の特徴から視床外側(視床外側腹側核:VL核)の損傷に起因したAtaxic Hemiparesisであることが推察された.