日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第49回大会
セッションID: P2-13
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放射線影響(染色体異常・発がん・遺伝的不安定性)
低線量率γ線長期照射によるマウスの寿命短縮と悪性リンパ腫早期発生の系統差
*藤川 勝義田中 聡タナカ イグナシア_III_ブラガ一戸 一晃廣内 篤久高畠 貴志中村 慎吾杉原 崇小木曽 洋一田中 公夫
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キーワード: 低線量率, 発がん, 寿命短縮
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抄録
【目的】我々はこれまでに、低線量率放射線の長期連続照射によりB6C3F1マウスに約100日の寿命短縮が生じることを報告した。その原因が発生したがんの大半を占める悪性リンパ腫の早期発生によることを、終生飼育、および経時的検索により確認している。今回、低線量率放射線連続照射による腫瘍発生の早期化が他の系統のマウスでも観察されるかどうか、また悪性リンパ腫以外の他の腫瘍でもみられるかどうかを確認するため以下の実験を行った。【方法】SPF条件下で8週齢のC3H/He Nrsマウスに低線量率(20 mGy/22 hr/日)の137Cs-γ線を集積線量が8 Gyに達するまで約400日間連続照射した後、終生飼育を行い、死亡個体全てについて死亡日時と発生腫瘍の病理解析を行った。【結果】雌で141日、雄で39日の有意な寿命短縮がみられた。腫瘍別では、悪性リンパ腫、乳腺腫瘍、卵巣腫瘍、肝腫瘍、白血病(雌のみ)、軟部組織腫瘍(雌のみ)で有意な早期化が観察された。【考察】照射による寿命短縮、及びそれに関連する悪性リンパ腫発生の早期化が、B6C3F1と近縁関係にあるC3H系統のマウスでも生じることが明らかになった。また、悪性リンパ腫以外にも乳腺腫瘍などの多くの腫瘍で発生の早期化が起きることが明らかになった。(本記載事項は青森県からの受託事業により得られた成果の一部である。)
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© 2006 日本放射線影響学会
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