抄録
目的:アガリクス(菌糸体・子実体)抽出物投与の安全性およびリンパ球増殖能、放射線防護効果および放射線照射との抗腫瘍効果について基礎検討を実施した。材料・方法:ICRおよびbalb/cマウス雄6~7週齢にアガリクス熱水抽出物(Agaricus blazeiMurrill、和名:ヒメマツタケ、岩出101株、岩出菌学研究所、以下ABM-FD)を経口投与した。安全性とリンパ球活性の検討:ABM-FDを7,200mg/kg/日/マウスとなるように調整して経口投与を行った。最終投与の24時間後に採血し、白血球・赤血球数および脾細胞のマイトジェン反応(Con-A、LPS)を計測した。放射線防護効果:マウスに8.0GyのX線全身照射を行い、ABM 680 mg/kg/日、15~18回の投与を実施した。放射線防護効果は、ABMを照射の3日前、直後および6日後より照射後30日まで投与をおこないマウスの生存率から判定した。放射線照射併用による抗腫瘍効果:Meth-A腫瘍をマウスの右大腿部皮下に移植し、ABM-FD(960mg/kg/日、7-10回)およびX線照射(3Gy/日x4回)を実施した。結果: ABM大量投与に対する安全性では、投与後の一般所見に特記する変化はみられなかったが、白血球数にのみ対照(蒸留水投与)の2.67倍(p<0.001)の増加がみられた。脾リンパ球のマイトジェン反応ではABM投与のCon-A、LPS添加リンパ球のトリチウム-チミジンの取り込みに増加が認められた。全身照射からの防護では、照射対照群の生存率33%に対して直後投与群が66%の生存率を示し、明らかな効果が認められた。また、照射の6日後より投与を開始した照射6日後投与群においても防護効果はみられず、対照群とおなじ生存率であった。Meth-Aに対するABM-FDと放射線照射の併用では明らかな腫瘍増殖抑制効果が得られた。考察・結論:以上の結果より、造血組織に対する障害を緩和し、骨髄死を抑制しているものと考えられる。