日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第50回大会
セッションID: CO-024
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放射線応答とシグナル伝達
MDM2/MDMXヘテロ複合体によるp53安定性制御
*河合 秀彦YUAN Zhi-Min鈴木 文男
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抄録

遺伝学的解析から、非ストレス存在下でp53が不活性化状態で維持される為には、MDM2およびMDMXの存在が必須である事は明らかとなっているが、これらの因子がどのように相互作用しp53を制御しているか、その詳細な分子機構は明らかにされていない。これらの分子機構を解析するにあたって、我々は様々なキメラ蛋白質を作成し、MDM2とMDMXが複合体を形成することを見出した。本研究では、p53とMDM2ファミリーのキメラ蛋白質を用いることによって、MDM2/MDMXのヘテロ複合体が MDM2単独よりも効率的にp53をユビキチン化できる事を明らかにした。生体内においては、MDM2ファミリーはMDM2/MDMXヘテロ複合体として主に存在していると考えられる。このMDM2とMDMXの複合体の形成阻害が、p53の量的・質的な活性化を誘導する事から、p53制御においてはMDM2/MDMXヘテロ複合体の機能が重要であると考えられる。これらの結果は、MDM2ファミリーのリングフィンガードメイン間の複合体形成がE3ユビキチンリガーゼ活性に必須であることを示唆する。また、MDMXがDNA損傷によって分解誘導される現象がp53の安定化および活発化に重要である事が明らかにされている。この分解はMDM2依存的であり、優先的に MDMXがユビキチン化する機構の存在によってp53の活性化機構は確実なものとされている。よって、MDM2とMDMX間の相互作用がp53制御機構の重要な役割を果たしていると考えられる。

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© 2007 日本放射線影響学会
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