日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第50回大会
セッションID: X3P-2
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加速器テクノロジーによる医学・生物学研究 -群馬大学21世紀COEプログラム-
マイクロPIXEを用いた食道扁平上皮癌におけるシスプラチンの感受性とPtの局在の検討
*田中 成岳木村 仁浅尾 高行桑野 博行
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抄録
【背景と目的】食道癌の手術は外科領域において侵襲の大きいものの一つであり、診断と治療において多くの課題が残っている。一方、食道扁平上皮癌は他の消化器癌と比べ、放射線療法や化学療法に高い感受性を示すものもあり、補助療法も含め今後の治療効果の増強が期待できるものでもある。我々は、食道扁平上皮癌におけるシスプラチン(CDDP)の感受性について検討を行った。【対象と方法】2種類の食道扁平上皮癌の細胞株(TE-2、TE-13)を用いて検討を行った。MTT assayを用いて、2つの細胞のシスプラチン感受性の評価を行った。Western blot analysisとDNA fragmentation assayにてアポトーシスの評価を行った。また、抗癌剤耐性遺伝子であるとされる、MDR1、MRP1、MRP2の発現についてreal-time RT-PCRを用いて評価した。つづいて、細胞培養時に核内に特異的に取り込まれるBrdUを用いることで、大気マイクロPIXE(Particle Induced X-ray Emission)分析により、細胞内における核内の同定を行い、同時に核内におけるシスプラチンの同定を行うこととした。
【結果】MTT assayによりシスプラチンの高感受性株(TE-2)と低感受性株(TE-13)を確認した。細胞周期およびアポトーシスの面からも、FACSやDNA fragmentation assayを行い確認した。また、抗癌剤耐性に関わるとされる遺伝子(MDR1、MRP1、MRP2)について、Real-time RT-PCRを行ったところ、3遺伝子ともTE-2に比しTE-13における発現が有意に増加していた。現在、大気マイクロPIXE分析法を用いることで細胞内の核の局在を同定することが可能になっており、今後は感受性の異なる細胞間での核内のシスプラチンの分布の差異について検討していく予定である。
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© 2007 日本放射線影響学会
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