日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第51回大会
セッションID: EO-2-1
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放射線治療・修飾
ラパマイシン投与による放射線耐性細胞のX線に対する増感効果
*桑原 義和森 美由紀中川 浩伸志村 勉福本 学
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抄録
(目的) がんの放射線療法は、局所制御が可能な点から応用が拡大している。しかし、放射線耐性細胞の存在は、治療の成否を左右する要因の一つである。標準的放射線療法は1クールが2 Gy/dayのX線、30日以上照射からなっている。我々は、より有効な放射線療法を開発するためにヒト肝がん由来HepG2細胞株から2 Gy/dayのX線を照射し続けても死滅しない放射線耐性細胞株(HepG2-8960-R)の樹立に成功した。本研究では、最近アポトーシス以外の細胞死として脚光を浴びているオートファジーと放射線耐性の関係について解析した。さらに、オートファジーを誘導するラパマイシンを投与して放射線感受性の変化を調べた。
(方法) オートファジーを伴った細胞は、抗LC3抗体を用いてオートファゴソームの蛍光強度を計測することで行った。また、ラパマイシンの投与によりオートファジーを誘導して、細胞の放射線感受性が変化するのか否かをHigh density survival assayで検討した。
(結果) 2 Gy/dayの X線照射により、HepG2細胞ではオートファジーが誘導されたが、HepG2-8960-R細胞では30日以上照射しても誘導されなかった。ラパマイシン投与により、HepG2-8960-R細胞でもオートファジーが誘導され、その放射線感受性はHepG2細胞と同等になった。
(考察) 放射線療法においてラパマイシンやその誘導体であるRad001を投与することで、非放射線耐性細胞だけでなく、放射線耐性細胞をも効率よく死滅させることの出来る可能性が示唆された。今後は、in vivoでの解析が必要である。
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© 2008 日本放射線影響学会
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