日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第51回大会
セッションID: EO-3-2
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放射線治療・修飾
炭素線RBEのLET依存性に関する文献データの解析
*安藤 興一
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キーワード: 細胞死, 線量効果, 直線回帰
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抄録
【目的】放医研HIMACシンクロトロンで得られた炭素線RBEとLETとの関係を中心にして、ドイツGSIおよび過去ローレンスバークレイ研究所で得られたデータを解析することを目的とした。【材料・方法】原則、粒子線RBEが線量効果関係が述べられており、かつ線量平均LETが記載されている56論文を用いた。著者がRBEを記載している場合には、間違いがないことを確認して、これを用いた。記載ない場合には線量効果関係からRBEを読み取った。【結果】 全RBEデータは767件あり、その内訳は炭素線データ474件、その他の粒子293件であった。もっとも幅広いLET範囲を炭素線について調べている3種類の培養細胞では、15 keV/microm近傍から100 keV/microm近傍までのLET範囲ではRBEの増大が直線近似できること、が分かった。そこで、炭素線データの中で100 keV/microm以下の範囲にあるLETとRBEに焦点を充てて、以下の解析を行った。コロニー形成による細胞死については、一番小さい回帰係数は舌がんの0.011 keV/micromであり、一番大きい回帰係数0.033 keV/micromはハムスター V79 細胞に認められた。染色体損傷データでは、リンパ球の回帰係数0.014 keV/micromから悪性黒色腫での回帰係数 0.068 keV/microm までの間に分布していた。この他に、アポトーシス、実験動物を用いた正常組織障害と移植腫瘍の治療効果、細胞トランスフォーメーション、更に分割照射についてもヒト由来培養細胞と実験動物での結果を同様に解析した。【結論】コロニー形成細胞死と染色体損傷では回帰係数の分布が広く、最少値と最大値の間に約6倍の開きがあった。アポトーシス、腫瘍と正常組織での回帰係数は比較的小さかった。
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© 2008 日本放射線影響学会
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