日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第51回大会
セッションID: EP-11
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放射線治療・修飾
2-ニトロイミダゾールアセトアミド誘導体の低酸素ヒト肺癌細胞に対する放射線増感効果
*皆巳 和賢宇都 義浩中江 崇中田 栄司永澤 秀子堀 均前澤 博
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抄録
[目的] 本研究の目的は、新たに設計、合成された2-ニトロイミダゾールアセトアミド誘導体の低酸素ヒト肺癌細胞に対する放射線増感効果を明らかにする事である。  [材料と方法] 実験には、対数増殖期にあるヒト肺がん由来A549細胞を用いた。細胞をトリプシン処理後、増感剤(1mM)を含む培地(10%FBS添加α-MEM)に分散し、この細胞分散液0.5mlをガラス管に封入し混合ガス(95% air + 5% CO2 又は95% N2 + 5% CO2)を通気した。照射には6MV X線を用いた。細胞生残率はコロニーアッセイにより求めた。増感剤には、2-ニトロイミダゾールアセトアミド誘導体(TX-2243、TX-2244、TX-2246)およびEtanidazoleを用いた。  [結果と考察] 線量・生残率曲線の10%生残線量(D10)から求めた低酸素細胞の酸素増感比(OER)は2.78であった。TX-2243、TX-2244およびTX-2246による低酸素細胞の致死増感率(ER=(増感剤なしでのD10)/(増感剤存在下でのD10))は、それぞれER=1.13 、1.50 および1.56 であった。EtanidazoleではER=1.75であった。低線量での増感効果を知るため50%生残線量(D50)からERを求めると、TX-2243では1.50、TX-2244では1.54、TX-2246では1.59、EtanidazoleではER=1.69であった。TX-2244およびTX-2246はD10及びD50の両者でEtanidazoleに比べやや小さい増感率を示した。一方、TX-2243は特徴的な性質を示し、生残率曲線の肩が小さく、その結果高線量に比べ低線量での増感率が大きい(TX-2244およびTX-2246と同程度)。これら誘導体の増感作用とDNA鎖切断生成との関係について研究を進め報告する予定である。
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© 2008 日本放射線影響学会
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