日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第51回大会
セッションID: EP-23
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放射線治療・修飾
腫瘍不均一性が与える低および高LET放射線生物効果への影響(第2報)
*小池 幸子安藤 興一鵜澤 玲子古澤 佳也平山 亮一松本 孔貴岡安 隆一
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抄録
目的:腫瘍不均一性の意義について実験的に調べる。放射線感受性の異なる2種類の腫瘍を人為的に混合してマウスに移植し、生育した腫瘍の炭素線照射効果を調べることである。材料・方法:2種類のマウス線維肉腫(放射線感受性#6107、放射線抵抗性#9037)を用いた。肉腫#6107 と#9037細胞を同系C3H雄マウスに移植し、これが生着して成育した腫瘍を摘出して単一細胞浮游液を作製した。適切な混合比率にて2種類の肉腫細胞数を調整し、マウス下肢皮下移植した。腫瘍が7.5-8.0mm径に達した時点で、下肢腫瘍を290MeV/n炭素線にて1回照射した。腫瘍増殖時間(TG time)を腫瘍毎に調べ、腫瘍増殖遅延時間(TGD time)を計算し、線量―効果関係を求めた。炭素線RBEは対照ガンマ線との比較にて求めた。腫瘍治癒率は照射150日後における結果に基づいて計算した。1線量当たりのマウス数は腫瘍増殖で5匹、腫瘍治癒率は10匹を用いた。 結果:移植時の細胞数混合比を変えて移植し、腫瘍増殖時間を調べた。#6107:#9037の混合比を0:100から100:0までの11段階に変化させたが、移植混合比にかかわらず増殖時間は一定であった。これらの腫瘍にガンマ線50Gyで1回照射後の増殖遅延を調べた。照射時の腫瘍体積が5倍になるまでの日数(TG time)は#6107が100_%_腫瘍は36日であったが、90_%_から50_%_に減ると28日から20日に減少した。#6107が50_%_以下ではほぼ20日となり、#9037を移植した時と同じであった。感受性腫瘍#6107が50_%_以上では混合比が多くなるにつれてガンマ線感受性が高かった。#6107と#9037混合比率を100:0,90:10,50:50,10:90と0:100を移植し、炭素線照射を行った。腫瘍増殖を20日遅延させる線量(TGD20)は混合比に応じで、15,20,21,24と32Gyであった。等効果線量は抵抗性腫瘍細胞比率が高くなるにつれて増大した。50%腫瘍治癒率をもたらす線量(TCD50)を調べた。上記の混合比で30,38,40,42そして42Gyとなり治癒率は増殖遅延よりも混合比率の変化に影響されにくい。
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© 2008 日本放射線影響学会
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