抄録
現地訪問をしない形で、中国の核爆発災害を評価した。北西に国境を接するカザフスタンの調査報告を鍵にし、核爆発災害の科学理論による現地ウイグルの被害評価をするという手法である。中国の3回の大型地表核爆発の合計爆発威力は8.5メガトンであった。その核分裂成分はおよそ4メガトンと推定される。この内最初の2回のメガトン級地表核爆発が、北北東方向のカザフスタンの地に核の砂が降下し、顕著な放射線影響を与えた。この2回の地表核爆発に対し、著者は独自の線量計算を実施し、カザフスタン報告の値と一致することを確認した。半致死以上のリスクとなるA地区の推定総面積は、東京都面積の11倍の2.4万平方キロメートルとなった。当時の平均人口密度の推定値6.6~8.3人/平方キロメートルとから、死亡人口は19万と推定された。また、白血病やその他のがんの発生および胎児影響のリスクが顕著に高まるBおよびC地区の人口は129万と推定された。