日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第51回大会
セッションID: HP-2
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放射線物理・化学
様々な単粒構造土壌モデルにおけるラドン散逸能の算出
*迫田 晃弘花元 克巳石森 有山岡 聖典
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抄録
【目的】これまで,土壌などからのラドン散逸能を予測するためのモデル計算が行われてきた。これら先行研究のほとんどが,粒子あるいは間隙のモデルに対してラドン散逸能を数学的に正確に表現しようとしてきたため,複雑なモデルに対応するのは困難であった。そこで,本研究では,まず間隙率が異なる3種類の単粒構造土壌をモデル化した。すなわち,単純立方,体心立方,および面心立方の各格子点上に土壌粒子が充填していると考えた。これらモデルはより実際的で,単粒構造をした土壌をよく表していると考えられる。その後,各モデルに対して,土壌粒子のラドン散逸能をモンテカルロシミュレーションによって算出した。
【方法】計算を簡略化するために,いくつかの仮定を導入した。例えば,全ての粒子は同径の石英(SiO2)で構成されており,また,ラドン散逸現象は親核種のラジウムのα壊変による反跳によってのみ生じると仮定した。各モデルにおけるラドン散逸能の算出は,粒径,含水率,およびラジウム分布を各々変化させて行った。
【結果と考察】単純立方格子状に充填された土壌モデルのラドン散逸能は次の通りであった。含水率が0%の場合,粒径10−100 μmの範囲においては,粒径が大きくなるにつれてラドン散逸能は高くなり飽和した。また,含水率が高くなるにつれて,ラドン散逸能は高くなり飽和した。これは,粒子から散逸したラドンが周囲の粒子に埋め込まれる前に,間隙中の水によってエネルギーの大部分が吸収され,結果的に間隙中に止まり易くなることを示唆している。他の土壌モデルのラドン散逸能についても同様に,本大会で言及する。一方,本研究のモデル計算の妥当性を検討するために,計算値と実験値を比較した。その結果,両者の間で良い一致が認められ,本研究のモデルが単粒構造をした土壌からのラドン散逸率を算出するのに有効であることがわかった。
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© 2008 日本放射線影響学会
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