日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第51回大会
セッションID: W6-2
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Living Cell Imaging による放射線影響の解明
Living Cell ImagingによるDNA損傷応答のダイナミクス解析
*鈴木 啓司
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抄録
放射線による生物影響の解明、とりわけ放射線によって誘発するDNA二重鎖切断に対する細胞応答の初期過程の解明には、放射線応答関連因子を分子レベルで動的に解析することが必要不可欠である。しかしながら、これまでのDNA損傷応答の研究では、すでに固定された細胞での解析が広く行われており、時空間的なダイナミクスはほとんど研究されずに残されてきた。我々研究グループでは、放射線照射された生細胞の中で繰り広げられる分子ダイナミクスを可視化する生細胞顕微技術を駆使した研究を展開し、DNA二重鎖切断の誘発にともなうクロマチン高次構造の変化を認識するDNA損傷チェックポイント因子の動的解析を行ってきた。具体的には、EGFPタグ付きの53BP1蛋白質あるいはMDC1蛋白質を正常ヒト二倍体細胞内で発現させ、放射線照射後のこれら蛋白質のフォーカス形成の時空間的動態を解析した。その結果、これまでに固定された細胞で観察されたフォーカスのサイズ変化を確認するとともに、これらフォーカスのサイズ変化が一定方向の変化ではないことを紹介し、DNA損傷修復やDNA損傷応答において、これまでの研究方法では明らかにすることのできなかった放射線影響の分子メカニズムについて理解を深める。あわせて、Living Cell Imagingの手法を用いた放射線影響研究の将来への展望についても議論する。
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© 2008 日本放射線影響学会
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