抄録
放射線影響研究の目的のひとつは、自然放射線および人工放射線による被曝影響を科学し、防護に関する情報基盤の構築にある。後者における最も大きな源は医療被曝である。そのため、医学における放射線基礎教育が重要となる。日本放射線影響学会では、医学教育における放射線基礎教育に関するアンケートを実施し、その中で要望のあった医学関連教育に関わる教科書も作成した。現在、放射線医療には追い風が吹いているが、医学部において、放射線基礎教育を担当する講座の数は減少しており、影響学会としてこれからの医学部における放射線基礎教育あり方について考える必要がある。以下について述べる。
1)医学部における放射線基礎教育の概要
2)歴史と現状
3)放射線基礎教育の必要性
4)放射線基礎教育の問題点
5)効果的な放射線教育を実施していくための提案