日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第52回大会
セッションID: P1-9
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DNA切断と修復
抗がん剤が誘発するDNA損傷と細胞致死への寄与
*吉村 友希大嶌 麻紀子中野 敏彰井出 博
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キーワード: 抗がん剤, DNA損傷, 致死効果
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抄録
抗がん剤は、DNA-タンパク質クロスリンク(DPC)、DNA鎖間の架橋や鎖内の架橋(ICL)、二重鎖切断(DSB)など様々なタイプのDNA損傷を誘発することが知られている。DPC、ICL、DSBは、いずれもDNA複製を強く阻害するため、高い細胞致死効果を示すと考えられている。しかし、個々の抗がん剤がゲノムに対しこれらの損傷をどの程度誘発し、それぞれがどの程度細胞死に寄与しているかは明らかにされていない。本研究ではこの点を明らかにするために、各種抗がん剤が誘発するDNA損傷量と致死効果の関連を検討した。抗がん剤としては、アルキル化剤であるmitomycin C (MMC)、melphalan (L-PAM)、白金化合物であるcisplatin (cis-Pt)、oxaliplatin (L-OHP)、DNAメチラーゼ阻害剤である5-aza-2'-cytidine (azadC)、トポイソメラーゼ阻害剤であるcamptothecin (CPT)、etoposide (VP-16) を用いた。HeLa細胞をこれらの抗がん剤で処理し、致死効果はコロニー形成法より比較した。10%生存率を与える濃度は、L-PAM (4.23 μM)、L-OHP (1.5 μM)、azadC (1.35 μM)、cis-Pt (0.68 μM)、VP-16 (0.43 μM)、MMC (0.025 μM)、CPT (0.0076 μM)であった。DNA損傷を定量するために、10%生存率を与える濃度で処理した細胞から、塩化セシウム密度勾配遠心法によりゲノムDNAを単離精製した。DPCは、Western blottingによる定量法を確立し定量を行っている。ICL、DSBについても定量を行う予定であり、この結果についても合わせて報告する。
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© 2009 日本放射線影響学会
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