日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第52回大会
セッションID: P1-10
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DNA切断と修復
DNA二本鎖切断再結合におけるATM依存性修復
*井原 誠小林 純也栗政 明弘小松 賢志山下 俊一
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キーワード: ATM, DNA二本鎖切断, 修復
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抄録
放射線感受性の原因はDNA二本鎖切断修復の欠損あるいは誤修復の昂進によると考えられる。DNA二本鎖切断修復として相同組換え修復とKu蛋白依存性の非相同末端結合、53BP1依存性の非相同末端結合の少なくとも3種類が有ると考えられている。これらの修復系相互の関係は明らかになっていない。
ATMは相同組換えに働くと考えられているが、非相同末端結合で機能する(Riballo E., Mol Cell, 2004)あるいはI-SceI誘導DNA二本鎖切断では相同組換えに関与しない(Sakamoto S., Oncogne 2007)等の報告もあり、その作用機序は依然として不明である。本研究では、Ku蛋白欠失による非相同末端結合能欠損STEF細胞とRNAiによる53BP1ノックダウン法を用いて修復関連蛋白質の電離放射線照射後の動態を解析した。
STEF細胞の53BP1をRNAiによってノックダウンすると、生存率が高くなった。この細胞のATM を阻害すると生存率は低下した。この結果は53BP1ノックダウン細胞ではATMによる相同組換えが昂進している事を示している。現在、ウエスタンブロットを用いて放射線照射後のATM、リン酸化ATM等の修復関連蛋白質の動態について解析を進めている。
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© 2009 日本放射線影響学会
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