日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第52回大会
セッションID: P1-42
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突然変異ほか
発がん過程における染色体異数化の役割
*縄田 寿克田野 恵三久郷 裕之押村 光雄渡邉 正己
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抄録
染色体異数化(染色体数の異常)は90%の固形癌、75%の造血系腫瘍において生じており、100年前からがんの共通した特徴として認識されていた。がんにおける染色体異数化の役割について1世紀近く議論がされつづけているが、染色体異数化が発がんの原因なのか、結果なのかは未だ明らかとなっていない。そこで我々は発がん過程における染色体異数化の役割を調べることとした。
本研究では、2倍体細胞を人工的に染色体異数化した細胞を用いて、自然発生、中心体異常、染色体分配関連遺伝子異常、その他どんな現象が原因にせよ、最終的に生じる「染色体の異数化」が細胞の形質にどのような影響をもたらすのかを調べた。そこでまず初めに、2倍体細胞である不死化ヒト間葉系幹細胞に染色体導入技術によって人工的に特定の染色体を異数化した細胞を用いて、突然変異率、足場非依存性増殖能、微小核生成頻度を調べた結果を報告する。また、有限寿命である胎児由来正常ヒト2倍体細胞に対しても、染色体導入技術によって人工的に特定の染色体を異数化することに成功した。この細胞においても不死化ヒト間葉系幹細胞と同様の試験をおこなった結果を報告したい。
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© 2009 日本放射線影響学会
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