抄録
近年、化学ならびに放射線療法などの治療に対して抵抗性を示す腫瘍において、幹細胞様の形態を示す癌幹細胞(tumor initiating cell)の存在が実験的に証明されつつある。CD133は脳腫瘍細胞の癌幹細胞で強発現していることが知られており、癌幹細胞のマーカーとして広く認知されているが、その発現機構については不明な点が多い。また、最新の研究からCD133が低酸素状態の脳腫瘍細胞において発現するという報告もなされている(Griguer E. et al, 2007)。筆者らはミトコンドリア機能を欠損させた脳腫瘍細胞を用いてCD133の発現を検討した。