日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第52回大会
セッションID: P2-104
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非電離放射線
ヒト細胞の紫外線致死抵抗化に関わるタンパク質annexin IIとその代謝を調節するHSP27
*陳 仕萍喜多 和子金 元虎佟 暁波菅谷 茂鈴木 敏和鈴木 信夫
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キーワード: アネキシンII, HSP27, 紫外線
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抄録
[目的]分子シャペロンheat shock protein 27(HSP27)は、種々のストレスに対応することが知られているが、紫外線(UVC)に対する応答への関与は報告されていなかった。しかし、HSP27がヒト細胞のUVC抵抗性に関わる知見を得、その結合タンパク質としてannexin IIを見出した。そこで、両タンパク質によるUVC抵抗化の分子メカニズムを解明した。
[方法] UVC致死高感受性培養ヒト細胞RSaとその派生株の抵抗性細胞APr-1を用いた。両細胞あるいはHSP27の細胞内含有量を変動させた細胞におけるUVC照射後のannexin IIの含有量および細胞内局在をウェスタンブロット法により解析した。さらに、両タンパク質量を変動させた細胞のUVC致死感受性をコロニー形成法で、UVC損傷DNAの除去能力を損傷DNAに特異的な抗体を用いて調べた。
[結果と考察] RSa細胞では、UVC照射数時間後annexin II量が減少したが、annexin IIを過剰発現させると、UVC致死抵抗化が認められた。HSP27を過剰発現させると、致死抵抗化と連動しannexin II量の減少が抑制された。一方、APr-1細胞では、UVC照射後annexin II量は減少しなかったが、HSP27の発現を抑制すると、致死感受性化と連動しannexin II量の減少が認められた。HSP27とannexin IIの複合体は、UVC照射前は主に細胞質画分に、照射後は核画分に見出された。また、siRNA処理によりannexin II発現を抑制すると、UVC損傷DNAの細胞内除去能力が低下し、致死感受性化した。以上の結果より、UVC致死感受性に関わる過程では、照射後早期にannexin II量の減少があることが示唆された。annexin IIは損傷DNA修復に関わり、一方、HSP27はシャペロンとして、annexin IIの細胞内量の減少抑制や局在の調節を介してUVC致死抵抗性に関わる可能性が示唆された。
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© 2009 日本放射線影響学会
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