日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第52回大会
セッションID: P3-131
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放射線被ばく影響・疫学
長崎急性原爆被爆者の剖検・パラフィン標本を用いた残留放射能の検出法ーその2
*七條 和子高辻 俊宏福本 学松鵜 睦美中島 正洋中山 敏幸関根 一郎
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キーワード: 残留放射能, 原爆, 長崎
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抄録
目的:長崎原爆被爆者の体内残留放射能を検出し、放射線が人体に及ぼす内部被曝の影響を病理学的に検討する。その一環として、我々は長崎原爆急性被爆者剖検例のホルマリン固定臓器とパラフィンブロック、対照としてトロトラスト患者の肝臓標本とブロック及び非被爆者標本を用いて内部被曝の検出法について検討している。今回、原爆急性被爆症例、トロトラスト症例及び非被爆者症例について組織切片を用いて残留放射能の検討を行った。試料と方法:1)長崎原爆被爆者として急性被爆7症例、2)内部被爆例としてトロトラスト症患者1症例、3)非被爆者として、国立長崎医療センター保管ブロック4症例、九州大学病理保管ブロック3症例を用いて、骨、肺、肝臓、腎臓等についてオートラジオグラフィー法を行った。得られたアルファ粒子飛跡の長さを計測し、アルファ粒子の乳剤内におけるエネルギーと飛程の関係をZieglarの方法に基ついて検討した。結果:長崎原爆急性被爆症例では、肺、腎、骨等の組織標本について非被爆者に比べて多くの数のアルファ粒子飛跡が認められた。また、Zieglarの式により、アルファ粒子飛跡の長さの計算から、239Pu特有のエネルギーとほぼ一致するアルファ粒子の飛跡パターンが確認された。さらに、今後、放射線検出器を用いて放射線核種の同定を行う予定である。
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© 2009 日本放射線影響学会
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