抄録
近年、細胞生存系、DNA修復系、細胞の細胞周期、血管新生などのシグナルトランスダクションにかかわる因子のはたらきが次々と明らかになりつつある。これらの因子は様々ながん治療に対してがん細胞が生き残ろうとする際に活性化される。従って、より有効ながん治療を行うにはこれら細胞生存系のシグナルトランスダクションを制御することが重要である。本シンポジウムではこれら細胞生存系のシグナルトランスダクションを標的とした最近のがん治療の基礎的研究を紹介し、新たながん治療戦略の方向性を考える。具体的には細胞生存系のmTORを標的としたがん治療、DNA損傷誘導とDNA修復阻害のがん治療への有用性、放射線と温熱または化学物質併用による増感治療、血管新生阻害による放射線増感等についての講演と討論を予定している。