日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第52回大会
セッションID: S1-4
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シグナルトランスダクションを標的とした癌治療の新展開―基礎から臨床へ―
アポトーシスを指標にした放射線増感
-細胞内酸化ストレスの役割-
*近藤 隆趙 慶利薜 政立古澤 之裕小川 良平
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抄録
アポトーシスは遺伝子制御された細胞死であり、がん治療においても、この効率的誘導が一つの理想とされ、その過程に活性酸素・フリーラジカルが関与することが判明してきた。最近の研究で、温熱や超音波でも細胞内に活性酸素が生成し、これがアポトーシスに重要な役割を担うことが明らかとなった。興味あることに、生体にとって酸素は生命活動に必須の分子であるが、酸素はその特異的な電子状態によりビラジカルと称され、電子移動により、より反応性の高い活性酸素に変化し、老化、発癌、そして多くの疾患の原因となる。放射線は、直接水分子を分解して細胞内に活性酸素を生成する。放射線による細胞死の多くは細胞内に生成した活性酸素に依存するので、これらの制癌因子は生体作用の点では作用機序が異なるにも関わらずアポトーシスに細胞内活性酸素が関係することは共通している。
本発表では、主にヒトリンパ腫細胞株を用いた放射線アポトーシスにおける細胞内活性酸素修飾による影響について述べ、後半では放射線応答に活性酸素が関係するHeLa株を用いた事例を紹介する。
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© 2009 日本放射線影響学会
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