抄録
医療被ばくによる生体への影響を調査する際、使用されるX線のエネルギーは、診断領域(30 keV~150 keV)と治療領域(1 MeV~20 MeV)に大別される。これらに関与する相互作用は、診断領域では主に光電効果であり、治療領域ではコンプトン効果となる。また、実験対象として細胞や小動物に照射することが多いが、一般に照射される線量は、広範囲均質媒体を対象として線量校正を行ったものであり、実際の実験環境と異なる。
そこで、本研究では、エネルギー領域の違いによる線量分布の違いおよび実験環境と校正環境との違いによる差異についてモンテカルロシミュレーションを用いた検討結果を発表する予定である。