日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第54回大会
セッションID: OF-3-5
会議情報

F: 被ばく影響・疫学
ESR線量計測による福島県住民のバックグラウンド被曝線量
*豊田 新近藤 厚志ズマディロフ カシム星 正治宮澤 忠蔵
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
 歯のエナメルを用いたESR(電子スピン共鳴)線量計測により、福島第1原子力発電所事故以前の、福島県住民のバックグラウンド被曝線量の計測を行った。92試料のうち、77試料については100mGy以下の値であったが、最大で250mGyの値が得られた。舌側の試料の被曝線量は系統的に頬側の線量より低かったが、これが歯科X線の被曝によるものかどうかについては検討が必要である。提供者の年齢と被曝線量の間には相関がみられ、年間の被曝線量率として0.87 mGy/y が得られた。この値はこの地域の自然の放射線量率 0.33 mGy/y より有意に高い。今回の研究で得られた住民のバックグラウンド線量は、今後、住民の被曝線量を考察する際に差し引く必要がある。今回得られた線量と年齢別の線量のばらつきから考察したところ、50から60歳の年齢範囲について危険率5%に対して得られる最低の有意な被曝線量は、個人の線量に対しては約200mGy、同じ線量を被曝したことを仮定できる10人のグループに対しては約100mGyと得られた。
著者関連情報
© 2011 日本放射線影響学会
前の記事 次の記事
feedback
Top