日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第54回大会
セッションID: OH-1-1
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H: 放射線物理・化学
ヒトと小動物におけるラドン及び子孫核種の吸入による吸収線量
*迫田 晃弘石森 有深尾 光佑片岡 隆浩花元 克巳川辺 睦田中 裕史光延 文裕山岡 聖典
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キーワード: ラドン, 吸収線量, 小動物
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抄録
 ラドンによる被ばく線量の評価は、その重要性から多くの研究報告がなされてきた。ラドンの吸入に起因した線量を考えるとき、次の3種類の被ばくパターンを主に考える必要がある。  (1)ラドン子孫核種の吸入による肺沈着、(2)ラドンガスの肺気道における滞留、(3)ラドンガスの吸入による体内動態。  これまでの研究報告のほとんど全ては、特に線量寄与が高いパターン(1)についてである。  我々はこれまで、マウスを用いたラドン曝露実験を行い、体内の生化学的変化を観察してきた。ここで、肺以外の主要器官も観察対象としてきたため、諸器官・組織の吸収線量を評価する必要があった。そのため、ヒトに対して確立されてきた線量計算モデルを適用して、上記の各被ばくパターンに対する実験小動物の吸収線量を計算してきた。また、このような評価を進めていくことは、環境の放射線防護の観点からも重要と考えられる。  ここでは、マウスの結果例を示す。被ばくパターン(1)は上気道領域、肺胞領域、肺全体でそれぞれ51.6、4.6、35.9 nGy/(Bq/m3)/h、(2)は上気道領域、肺胞領域、肺全体で0.036、0.015、0.029 nGy/(Bq/m3)/h、(3)は脂肪、赤色骨髄、その他(平均)で0.056、0.029、0.002 nGy/(Bq/m3)/hであった。(1)による被ばくが最大の線量を与えることが確認され、次いで(2)、(3)の順で高かった。この傾向はラットでも確認され、ヒトと同様の傾向であった。本発表では、使用した線量計算モデルを概説し、ヒトと小動物における線量比較、線量評価上の課題などを紹介する。
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© 2011 日本放射線影響学会
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