抄録
放射線影響の指標としては、細胞レベルにおいては線量に対するDNA鎖切断の頻度、個体レベルにおいては染色体異常の頻度がよく用いられている。DNA鎖切断と染色体異常(切断)は連続したイベントと考えられるが、それら一連の事象がどのように関係しているのかに関してはあまりコンセンサスが得られていないように見える。
今回、数理モデル化したヒト17番染色体を用いて、そのさまざまな動態についてコンピュータシミュレーションを用いて調べた。特に放射線による切断が生じた際の切断端は時間と共に離れていくが、その動態と修復酵素の集積する速度との関係について計算結果を報告したい。