日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第54回大会
セッションID: PB-10
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B: 放射線応答・シグナル伝達
放射線誘発バイスタンダー応答の時間依存性の解析
*横田 裕一郎舟山 知夫武藤 泰子池田 裕子小林 泰彦
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抄録
照射-非照射細胞間のシグナル伝達が非照射細胞に照射細胞と同様の生物効果を引き起こす放射線誘発バイスタンダー応答は、低線量放射線の生物効果を修飾する可能性がある。そのため、バイスタンダー応答の詳しい動態を明らかにすることは、低線量放射線の生物効果が注目されている現在、重要である。そこで本研究では、in vitroで放射線誘発バイスタンダー応答の時間依存性を明らかにすることを目的とし、炭素線(LET = 103 keV/μm)又はネオン線(LET = 380 keV/μm)マイクロビーム局部照射(35 mmφのコンフルエント細胞試料の25ヶ所に10イオンずつ、合計250イオン)、炭素線ブロードビーム全体照射(LET = 108 keV/μm、0.13 Gy)あるいはγ線全体照射(LET = 0.2 keV/μm、0.5 Gy)したヒト正常繊維芽細胞WI-38株と6~24時間共培養した非照射(バイスタンダー)細胞の生存率をコロニー形成法により調べた。本実験条件における照射細胞とバイスタンダー細胞の比率は、炭素線マイクロビーム照射試料で0.0005未満 : 1、炭素線ブロードビームおよびγ線照射試料で0.5 : 1であった。マイクロビーム照射試料では、バイスタンダー細胞の生存率は照射後6時間では変化しなかったが、24時間で約15%低下した。一方、0.13 Gyの炭素線ブロードビームと0.5 Gyのγ線を照射した試料では、バイスタンダー細胞の生存率は照射後6時間以降で15~20%低下した。以上の結果から、バイスタンダー細胞に対して照射細胞が極端に少ない場合、バイスタンダー応答の誘導が遅延することがわかった。
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© 2011 日本放射線影響学会
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