日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第54回大会
セッションID: PD-5
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D: 低線量・低線量率
焦電性結晶による低線量X線源の開発 -発生電圧の定量的評価-
*花元 克巳迫田 晃弘川辺 睦片岡 隆浩山岡 聖典
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抄録
【目的】焦電性結晶は、真空中で温度変化を与えることにより、高エネルギー電子を放出する。この高エネルギー電子を金属ターゲットに衝突させることにより、X線の発生が可能となる。これを利用すると、高電圧電源が不要で、非常に小型のX線源を作製することができる。この小型のX線源は、空間分解能の高い局所照射が可能で、低線量X線照射等の基礎研究には非常に有用と考えられるが、この線源に関する基礎的な研究についてはほとんど報告がない。本研究では、焦電性結晶により発生した電圧を測定し、焦電性結晶の幾何学的配置から計算できる発生電圧と比較した。
【方法】焦電性結晶としてLiTaO3(z-cut、10 mm×10 mm×0.5 mmt)を用いた。結晶の+z方向表面から約4.5 mm離れた位置にステンレス電極(30 mmφ、厚さ2 mm)を配置し、電極の中心に1 mmφの孔を開け、結晶に面していない側に厚さ5μmの銅箔を取り付けた。銅箔より約3 mm離れた位置にCdZnTe検出器またはCdTe検出器を設置し、X線の検出を行った。結晶を加熱し、温度を室温から約120℃に温度上昇させるときに放出されるX線を測定した。平均温度変化率は1.5 K/sに固定し、気圧は10から25 Paの間で変化させた。
【結果と考察】同じ気圧の条件でも、測定結果にばらつきがあるが、気圧が低いほど、放出されるX線のエネルギーと強度が大きくなる傾向が見られた。実験により得られた最大電圧と、焦電性結晶の幾何学的配置から計算できる発生電圧を比較すると、前者は22 kV、後者は21 kVとなり良い一致を示すことがわかった。
【謝辞】本研究の一部は科研費・挑戦的萌芽研究(22659221)の助成を受けて行われた。
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© 2011 日本放射線影響学会
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