日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第54回大会
セッションID: PD-7
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D: 低線量・低線量率
低線量率長期ガンマ線照射後のマウス肝臓における遺伝子発現の計時的変化
*上原 芳彦中島 徹夫王 冰根井 充一戸 一晃中村 慎吾田中 聡松本 恒弥小木曽 洋一田中 公夫小野 哲也
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抄録
 これまでに低線量放射線の生物学的影響を探索する目的で、低線量率ガンマ線長期照射によるC57BL/6雄マウスでの遺伝子発現レベルの変化をAffymetrix社Mouse Genome 430 2.0 アレイにより解析した結果、線量率20 mGy/dayで400日間照射終了直後では、6個体全ての肝臓において約20個の遺伝子が1.5倍以上発現変動することを見いだした(Radiat. Res. (2010) 174, p611-7)。そこで今回は、低線量率放射線照射直後に発現が変動している遺伝子のその発現変動が、照射終了後どの程度持続するのかについてRT-PCR法を用いて計時的に調べた。  解析の結果、ほとんどの遺伝子はその発現変動が数時間は持続するものの、長く発現変動が持続する遺伝子でも持続期間は1日程度で、12日後には全ての遺伝子で変動は消失していた。低線量率放射線照射が及ぼす生物学的影響の中には、照射後しばらく時間が経過した後にその変化が現れる場合があるため、照射後ある程度の期間をおいた後に発現が変動する遺伝子が存在する可能性を考え、照射3ヶ月後のマウス肝臓で同様のアレイ解析を行った。その結果、照射3ヶ月後で発現変動する可能性のある数個の遺伝子が見つけることができた。
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© 2011 日本放射線影響学会
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