農村経済研究
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論文
経験価値からみた農産物直売所のマーケティング戦略に関する一考察
-JA仙台直売所「たなばたけ」を事例として-
吉田 朋記水木 麻人
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2018 年 35 巻 2 号 p. 64-75

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抄録

本研究は「経験価値マーケティング」の観点から,農産物直売所に対する消費者の総合的な満足度を構成する要素とその影響力を明らかにすることを目的とし,さらに直売所の今後のマーケティング戦略の考察を試みる.調査対象はJA仙台が運営する直売所「たなばたけ」の利用者とし,直売所の利用状況や満足度等を尋ねた質問紙調査を実施した.この調査結果を用いて,因子分析及び順序プロビットモデルにより消費者の総合満足度に与える影響について推定を行ったまず,因子分析により6つの因子を抽出し,それぞれの因子名を【店舗の雰囲気】,【生鮮食品の品質や品揃え】,【コミュニケーション】,【感動】,【加工食品の品揃え】,【接客】と設定した.次に,それぞれの因子が総合満足度に与える影響を確認するために,被説明変数に総合満足度,説明変数に因子得点を設定し,順序プロビットモデルによる分析を行った.その結果,【生鮮食品の品質や品揃え】,【コミュニケーション】,【感動】が総合満足度に正の影響を与えており,特に【感動】の影響が最も大きいことが明らかになった.以上より,直売所の今後のマーケティング戦略の1つとして考えられるものは,直売所間のネットワークを構築し,農産物の交流やイベントを開催することで地域色のある品揃えを充実させることである.

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© 2018 東北農業経済学会
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