日本ロボット学会誌
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ITSにおける画像計測と画像処理
青木 正喜
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1999 年 17 巻 3 号 p. 321-327

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抄録

ITS (Intelligent Transport Systems) において, 画像技術が重要な役割を果している.運転操作において, 我々はほとんどの情報を視覚から得ていると言っても過言ではない.人間の視覚情報処理を支援, 置き換えるため, 車載カメラと処理装置を用いたシステムの研究・開発が盛んに行われており, 一部は商品化されている.また交通情報収集や交通に関連した管理・各種応用においても画像利用の実用化が進んでいる.
画像技術をITSに応用した象徴的な例として, ダイムラーベンツ社がPROMETHEUS (PROgraMme for European Traffic with Highest Efficiency and Unprecedented Safety) の一環として試作したVITA IIがある.VITAはVIsion Technology Applicationの頭字語であり, 衝突防止, クルーズコントロール, 追い越し, 三車線道路の走行など特別なインフラストラクチャなしでのビジョンシステムによる完全自律走行を目的としている.力点はビジョンシステムの利点と欠点の洗い出しおよびフィージビリティの検証に置かれていた.ビジョンセンサとしては, 18個の小型TVカメラを搭載している.
車載システムとしては, 白線検知, 自車位置検知, 障害物検知, 他車の検出・追跡, 信号・標識認識などAVCSS (Advanced Vehicle Control and Safety Systems) /AHS (Automated Highway System) への応用が主体である.一方, ITSとしては地上システムにおいても画像技術の応用に関する研究・開発が行われており, 実用化も進んでいる.地上システムとしては, 異常交通検出, 事故検出, 交通流計測, ナンバプレート読み取り, 車両同定, 違法駐車車両検出, 駐車場満空検出などさまざまな応用が試みられている.

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