日本ロボット学会誌
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金属水素化物を用いたサーボアクチュエータの開発
―圧力制御系の設計とその考察―
木村 一郎高森 年安田 嘉秀村尾 良男水野 陽一
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1987 年 5 巻 4 号 p. 273-282

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抄録

本論文では金属水素化物としてLaNi4.5Al0.5を用いたロボット用ニューアクチュエータについて述べる.このアクチュエータは力出力型であり, ヒータ, 金属水素化物反応容器およびベローズからなる.金属水素化物はユニークなエネルギー変換機能を持ち, 熱エネルギーは機械エネルギーに変換される.したがって, この金属水素化物を加熱冷却することにより, 水素ガスの放出, 吸蔵を制御でき, そしてその水素ガスによってベローズを駆動できる.また, このサーボアクチュエータは応答特性の向上を計るためにPIDコントローラによる圧力フィードバック制御系を構成する.圧力フィードバック制御系の設計は, 制御対象のモデルシミュレーションを用いて行われる.
実際に, この力出力型サーボアクチュエータを試験した結果, 特に次に述べることが明らかとなった.
1) 開発されたシミュレータはさらに高性能な金属水素化物アクチュエータを設計する際に有効である.
2) 金属水素化物特性の非線形性は重要な問題でなく, またヒータの飽和特性はPIDコントローラに積分圧飽和防止機能を持たせることにより補償される.
3) このアクチュエータのインピーダンス整合性は比較的良い.しかし, 金属水素化物アクチュエータを広い範囲の負荷に適合させるためには, この点についての詳細な検討が今後の課題となる.

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