1989 年 7 巻 1 号 p. 62-70
プーリ・ワイヤ駆動系におけるトルクセンシングはこれまでプーリ両端のワイヤにそれぞれ張力センサを押し付けることにより行なわれていた.この万法では対応するトルクは2つの張力信号をアナログ演算回路に入れ両者の差をとることにより得られるため, 原理的に1軸あおり2個の張力センサを必要としていた.さらにこの方法はたとえ駆動トルクがプーリに作用していなくてもワイヤ張力に比例したバイアス力がセンサ部に作用するため, 残留応力やダイナミックレンジが広くとれないなどの欠点を有していた.
本論文では駆動軸回りに発生するトルクがプーリ両端の張力差に比例することに着目して張力差動形のトルクセンサを提案している.次にトルクサーボ系を設計する上で重要な指標となるセンサの等価回転剛性を導入し, センサの幾何学的パラメータや外界の剛性がサーボ系のループゲインに及ぼす影響について, アームの慣性モーメントが無視できるという仮定のもとで考察している.