2013 年 20 巻 2 号 p. 111-123
電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)による定量分析においてZAF法は,X線の発生領域よりも大きな均一相をもつバルク状態の試料であれば,解析的手法としてほぼ確立されている.しかしながら,ZAF法の定量精度は,低加速電圧領域での測定やF以下の軽元素の測定において,Na以上の重元素の場合と比較して十分とは言い難い.そこで,モンテカルロ法で求めた発生関数を一般式化し,その発生関数が実用に供せるか否かを検討した.その結果,バルク試料において加速電圧5kVにおいては,O, S, Ga, Co, Niの定量値はMC法と同程度であった.5–25keVの加速電圧領域においては既存のZAF法と比較すると同等もしくはそれ以上の高い正確さであった.ただし,Fに関してはMC法の結果よりも定量の正確さは低かった.