Journal of Surface Analysis
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解説
動的Shirley法によるXPSスペクトルのバックグラウンド自動推定と定量分析
松本 凌 西澤 侑吾片岡 範行田中 博美吉川 英樹田沼 繁夫吉原 一紘
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2016 年 22 巻 3 号 p. 155-167

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抄録
XPSスペクトルのバックグラウンド推定の方法は任意性が高く,バックグラウンドの形状によってピークの強度が変わるため定量分析の結果に大きく影響する.特に,最も多用されているiterative Shirley法では,指定されたXPSスペクトルの始点と終点でのデータ点の強度に大きく依存してバックグラウンド形状が変わる.本研究では,この依存性を低減する為,バックグラウンド推定をピークフィッティング中で行う動的Shirley法に着目し,これをCOMPROに組み込んで銅酸化物超伝導体のCu 2pスペクトルやSiO2薄膜のSi 2pスペクトルに対して適用した.その結果,バックグラウンドの端点位置やピークの関数型を変化させてもバックグラウンドの形状やピーク面積について変動の少ない安定した解が得られることが明らかとなった.
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© 2016 一般社団法人 表面分析研究会
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