抄録
自動車産業は脱炭素社会の実現に向け,高効率且つ耐久性のある車両を実現するため内燃機関やトランスミッションなどの機械部品の摺動特性向上が重要な課題となっている.特性発現のメカニズムを考察するには,摩擦摩耗の最前線である表面の組成や形状の把握が不可欠である.
本報告では,エンジン内での劣化を模擬したオイルを作製し,オイル中に含まれる各種添加剤の劣化状況と摩擦特性との相関を調べた.その結果,摩擦係数μとオイルに含まれる各種添加剤の減少や摺動表面に生成するMoS2の量には強い相関があることがわかった.