2026 年 44 巻 p. 25-33
近年、ChatGPTをはじめとする対話型生成AIの普及が進み、大学教育における学習支援としての活用が広がっている。一方で、生成AIの活用は学習者の主体性や自律性を損なう可能性も指摘されている。そこで本研究は、授業内で生成AIを活用させた場合に、大学生の自己主導学習(SDL)がどのように変化するかについて検証することを目的とした。私立大学の経営系学科の講義内で生成AIの活用体験を実施し、事前・事後アンケート調査を行い、事前・事後の対応が取れた116名を分析対象として統計的検討を行った。分析の結果、SDL得点は事前から事後にかけて有意に上昇し(t(115)=5.37, p<.001)、効果量は中程度であった(dz=0.50)。平均差は0.33であり、5件法上で大きい変化とは言いにくいものの、短時間の授業内実践後にSDLに関する自己評価が一定程度上昇し得ることが示された。さらに、生成AIの活用方法(8区分)別の分析では、いずれの方法でもSDL変化量の平均は正であったが、方法間の差は有意ではなかった(F(7,224)=0.508, p=.828)。この結果は、特定の機能の選択というよりも、授業課題の中で生成AIを学修支援として組み込み「学習を前進させる体験」をしたことそれ自体が、SDLの自覚の向上と関連した可能性を示唆する。ただし、本研究では自己効力感や方略使用等の媒介過程を直接測定していないため、上記は結果から導かれる解釈にとどまる。以上より、本研究は生成AI活用の教育的効果検証に向けた基礎的知見を提供する。