2018 年 2018 巻 BI-010 号 p. 04-
顧客第一主義を標榜し、品質第一主義を掲げて世界を席巻してきた日本企業で今、品質詐称事件が後を絶たない。企業組織が当初から悪意を持って詐称に及んだ事例もあるが、赤福事件の様に一見善意から詐称事件へと発展した例もあり、そこには日本独特の高コンテクスト社会が生んだ「忖度」の存在がみられる。本研究では Giddens の構造化の理論の枠組みを基に、日本独特の精神文化とも呼べる「忖度」が意図せざる不祥事へと企業組織を導いて行く様を、ビジネスゲームと表情分析を用いて再現させ、そのメカニズムを解明することを目的としている。また、このような方法が従来のアンケートで難しいと思われる動的な組織変容過程の研究に有効であることを示し、その構想を報告する。