2019 年 2019 巻 FIN-022 号 p. 126-
株式や外国為替等の金融市場において、特徴的な統計性質がいくつか知られており、それらの発生メカニズムを解明する為、様々なモデルが考案されてきた。ところが、研究者自身がモデル構築を行う場合、研究者が事前に想定した複雑さの因果関係までしかモデルに含むことが出来ない。そこで、遺伝的プログラミングによって、市場の統計性質を満たすようにモデルを自動生成する。本研究はその第一歩としてfat tail とvolatility clustering を再現する確率過程モデルの構築を行った。その結果、fat tail は比較的単純な式で再現出来るが、volatility clustering の再現には煩雑な式が要求されることが判明した。両者の同時再現においては要求される式の複雑さや誤差縮小速度の違いにより、ハイパーパラメータの細かな調整が必要である。