2020 年 2020 巻 FIN-025 号 p. 82-
人工知能が相場操縦を行った場合の責任の所在が議論されている.そこで本研究では,遺伝的アルゴリズムを用いた人工知能が人工市場シミュレーションを用いて学習するモデルを構築し,人工知能の作成者が相場操縦という取引戦略を全く意図していなかったにも関わらず,人工知能が学習を通じて相場操縦という取引戦略を発見するのか調べた.その結果,人工知能は相場操縦に他ならない取引を最適な取引として見つけ出した.この結果は,株式取引を行う人工知能の作成者には,人工知能が相場操縦を行わないようにする義務を負わせるなどの規制の必要性を示唆している.