人工知能学会第二種研究会資料
Online ISSN : 2436-5556
Adaptive Elastic Dynamic Mode Decomposition を用いたモメンタム戦略の改良
内山 祐介中川 慧
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2020 年 2020 巻 FIN-025 号 p. 76-

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抄録

動的モード分解(DMD: Dynamic Mode Decomposition) は多変量時系列データのダイナミクスを安定・中立不安定多様体に対応した固有モードの重ね合わせによって表現する, 流体解析の分野で提案された新しい手法である. 動的モード分解は対象とする多変量時系列の支配方程式を陽に必要とせず, データのみから時空間ダイナミクスの構造を抽出する. また, DMD は時間および空間変数の次元削減手法であり, 高次元の時空間ダイナミクスに埋め込まれた本質的に重要な低次元の時空間的特徴を抽出することが可能となる. この特徴を利用すると, 多変量時系列の複雑な時間発展の中から単一方向のトレンド成分に対応するモードを抽出することができる. 本研究では, スパースな時空間構造を抽出するため, DMD を拡張したAdaptive Elastic DMD(AEDMD) を提案し, これを用いて伝統的なモメンタム戦略の改良を行う. 具体的には, 価格系列に対してAEDMD を適用し, 価格系列の背後にある時空間構造に基づいた価格トレンドの推定を行う. 推定されたトレンドに基づいて売買を行うことで, 単純な過去のトレンドに基づくモメンタム戦略を上回ることが可能であることを実証する.

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© 2020 著作者
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