人工知能学会第二種研究会資料
Online ISSN : 2436-5556
Study of Factory Automated Guided Vehicles Systems by using Multi-agent System and Contract Net Protocol
加藤 大望矢田 昇平倉橋 節也
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2021 年 2021 巻 BI-018 号 p. 07-

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抄録

近年、生産性の向上等を目的とし、工場の Internet of things (IoT)化、スマート化が検討されている。このような工場では、加工中の製品が一方向に流れていく、従来型のベルトコンベア等を用いた生産システムとは異なり、Automated guided vehicles (AGV)を用いて複数工程を行き来しながら生産を行うフレキシブルなジョブショップ型の生産方式となる。本生産方式の課題は、タスクの適切なスケジューリングであり、最適解を保証することが難しい Non-deterministicPolynomial time-hard (NP-hard)となることにある。加えて、本論文がモチーフとする半導体製造工程では、微細な加工を行うことから大気中のごみによる汚染や搬送時の振動が製造歩留まりに大きな影響を与えるため、工場内の AGV は決められた搬送路上を通行し、搬送車を追い越すことができない制約条件が存在する。この制約により、AGV の空間干渉が生じるため、搬送路上の AGV は渋滞が生じ、その結果、適切な時機での製造装置に加工製品の受渡しができず、納期遅れが発生する等の課題が生じる。このような課題に対し、本論文では、Multi-agent system (MAS)を用いることで、搬送車の空間干渉モデルを考慮した交通流量に関する解析モデルの検討を行った。MAS を用いることで、搬送車の空間干渉をモデリングすることが可能となる。加えて、主問題を分割し、副問題として処理を行う Contract Net Protocol (CNP)を解析モデルに適用し、加工装置をタスク管理者、AGV は契約者として扱い、動的に契約交渉を行うとした。CNP を用いることで、AGV の割当てエージェントとタスク管理者エージェントで協調し、さらに、工場内におけるドメイン知識である渋滞の時系列情報を利用することで、AGV の渋滞緩和が可能か検討を行った。検討の結果、搬送車の空間干渉モデルのみを用いた計算では、単位時間あたり n =0.4台/s で流入した場合に渋滞が生じていたが、CNP を用いること、および AGV の車間距離 Lh を適切に調節することで、渋滞を緩和させられることを見出した。

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© 2021 著作者
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