2021 年 2021 巻 SWO-055 号 p. 03-
知識グラフを用いた対話型質問応答ベンチマークとして,大規模知識グラフWikidataを用いて作成されたCSQAが存在する.CSQAには,What型の単純な質問タイプの他に,比較や集合演算などの推論を必要とする質問タイプなど,10種類の質問タイプについてデータセットが構築されている.既存手法では,発話をデータベースへの操作を表現する論理形式に変換するマルチタスク意味解析モデルにより高い精度を得られるようになってきている.論理形式への変換は,論理形式を導出するための文法を定義し,発話からその文法を適用する順序を予測することにより行う.その予測のための学習には文法を適用して生成できる論理形式の中から質問に回答できるものを探す必要がある.しかしその検索空間は膨大なため,検索の方法によっては検索成功率が低下したり,誤った論理形式が検索されたりするという問題が発生し,モデルの学習に悪影響を与えることにつながる.本研究では,論理形式のパターンを用いることにより,既存手法よりも短時間かつ高い検索成功率で論理形式を検索するための手法を提案する.