2022 年 2022 巻 BI-020 号 p. 13-
株価予測の難しさは、過去データによって学習した特徴量間の関係性が市場変化によ り崩れることにある。複雑化した機械学習ベースの予測モデルでは予測性能の低下の原因をブ ラックボックスにしたまま、再学習を繰り返すことになる。この課題を克服するために、本研究 では特徴量間の因果関係に基づく株価予測を行うことを目的する。本研究の提案手法は、因果構 造の探索と因果構造に基づく予測モデルの構築に分けられる。前者では、敵対的生成ネットワー クをベースとした Structural Agnostic Modeling (SAM)を用いた。後者では、構造方程式モデリン グを用いた。予測性能の検証は、予測日から 5 営業日後の株価の上昇と下降の正解率等に基づい て実施した。使用した特徴量は、テクニカル分析系等の 40 個程度から成る。その結果、本提案 手法では、他の機械学習アルゴリズムの予測性能を上回った。