人工知能学会第二種研究会資料
Online ISSN : 2436-5556
汎用人工知能に向けた成長型タスクオントロジー設計の取り組み
我妻 広明
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2023 年 2023 巻 AGI-023 号 p. 04-

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抄録

汎用人工知能(AGI)は,人間が解決可能な知的課題はすべて学習または遂行できる知的エージェントとして定義され,Marcus Hutter(2000)は,強化学習を前提として「確率的で不定,しかし計算可能な環境で与えられた目標を達成する能力」を最大化する形でAGIが得られるとした.一方,人間は高度に複雑な課題を知識活用で解決するが,知識の形式は報酬のように数値として積和することで意味が失われる.山川宏(2018)は,「既存の知識を柔軟に組み合わせて推論する」技術Xが,不良設定問題である実世界における課題を仮説生成で解くと指摘した.知識形成と再編集については,市瀬龍太郎ら(2015, 2016, 2017)が提案したルール言語実装の最大効果が得られるADASオントロジー,武田英明(2004),荒川直哉(2006)が注目した上位オントロジーが,鍵となる.本研究では,ADASオントロジーを一般化する手法,上位/下位オントロジーを仮説空間/データ空間から構築する方法論について言及し,専門分野の熟練知を体系化し,知識ベース推論で人の判断を支援する事例を,自動運転,故障診断,人と協働する産業用ロボット,知的パズルボンガード問題の解法器の研究成果から概説し,AGI 基本原理の探求の道筋について議論する.

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© 2023 著作者
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